大人数でバタバタの家族葬って・・・ 

職場の上司のお父様が亡くなった時のことです。
上司はご実家も自身もお金にはまったく不自由していない、むしろかなりの高所得者一家なのですが、お父様の葬儀を家族葬で行うと言い出しました。
完全な家族葬であれば、他人が口をはさむことではないのですが、葬儀の段取りなどは私を含む数人の他人任せだったのです。

家族葬というのはそもそもほんの近親者のみで行うものですが、上司とその兄弟は仕事の付き合いが多く、事前に通夜・葬儀への列席を遠慮する通知も出していなかったため、結構な人数が集まりました。
家族葬専用の斎場だったため、大人数に対応する準備もなくたいへんでした。

お葬式は突然のことなので多少の不調法は許されるものですが、準備の足りなさや、上司や兄弟が他人任せにしすぎたことからトラブルがたくさんあり、故人が不憫に思えるほどでした。

通夜・告別式ともに、多くの弔問客が訪れる家族葬となりました。受付の人数やスペースを増やしたり、椅子の数を増やしてロビーの方まで並べたり、急きょ香典返しを追加発注するなどの作業が生じて、終始バタついた葬儀となってしまいました。
お世話になっている人にお葬式の事情に詳しい方がいたので、その方の機転ですべてのトラブルを乗り越えたといった感じです。
故人を偲んで、家族でゆったりと送ってあげようとか、世間体を気にする人だったから、親せきやご近所に恥ずかしくないような葬儀にしてあげようとか、基本のところを考えてあげていればあんなことにはならなかったのではないかと思っています。

家族葬は身近なものになってきていますが、家族で話し合い、家族葬というものをしっかり理解してから選ぶべきかと思います。
遠縁の人や職場関係、友人などを一人二人でも呼ぼうと考えるなら、家族葬は向かないかもしれません。一人二人増やすつもりが、あちらを立てればこちらが立たないとばかりに、10人くらいはあっという間に増えてしまうのではないでしょうか。

配偶者と子供、孫、故人の兄弟程度の近親者のみで、ゆっくり故人を偲ぶのが家族葬だと思いますし、例えば故人が賑やかなことが好きだったなどの事情がある場合なども、たくさんの人に送ってもらう方が故人も喜ばれますよね。