親一人子一人で、私たち親子は生きてきました。一年前、私が結婚をし家を出てから母は、一人で寂しい生活を送っていたのだと思います。その母が、病に倒れ入院生活が始まりました。「私が亡くなったら、お墓はいらないから木の下にでも埋めてくれればいいから」といっていました。母が亡くなり、遺品を整理していると私宛の手紙を見つけました。もともと家族葬を住まいの近くである松原で、と考えていましたが、そこには「樹木葬」のことも記されていました。樹木が好きだった母らしい選択だと思いました。私たち親子が住んでいた地域は昔ながらのお墓に対する考え方が強く残るところです。「お墓を建てない」とわかれば「何と親不孝な息子だ」街中に知れ渡ることでしょう。葬儀は家族葬で行い埋葬は樹木葬にしました。母が亡くなり葬儀のことを聞きつけた地元の方たちから、「地域の住民も葬儀に参列をさせてほしい」という申し出をいただきました。本来なら葬儀の意義の説明をさせていただき遠慮をしていただくところなのかもしれませんが、参列をしていただくことにしました。埋葬は、説得をされても母の希望通り樹木葬で行うつもりです。